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心臓血管病センター・橋本涼太先生、沼澤洋平先生らの臨床研究論文が英文雑誌Heart and Vesselsに掲載されました
2021-05-14
議 論

Prevalence of the Academic Research Consortium high bleeding risk criteria in patients undergoing endovascular therapy for peripheral artery disease in lower extremities

著 者
Hashimoto R, Numasawa Y, Yokokura S, Daigo K, Sakata S, Imaeda S, Hitomi Y, Sato K, Taruoka A, Haginiwa S, Kojima H, Tanaka M, Kuno T, Kodaira M.
発表
J Clin Med. 2020 Nov 10;9(11):E3612. doi: 10.3390/jcm9113612.
Heart Vessels. 2021 Mar 2. doi: 10.1007/s00380-021-01813-2. Online ahead of print.
 
今回、筆頭著者の橋本先生(心臓血管病センター循環器内科部門)、責任著者の沼澤先生(副院長補佐兼心臓血管病センター部長(循環器内科部門))らは下肢動脈血管内カテーテル治療施行患者における高出血リスク基準(High Bleeding Risk Criteria)該当割合と術後1年の臨床転帰について調査を行い、その結果を臨床研究論文として発表しました。
 
これまでの先行研究から日本の心臓カテーテル治療施行患者においてはおよそ40-50%程度の症例が高齢、貧血、腎機能障害をはじめとした高出血リスク基準に該当し、治療後の合併症発生率も高いことが知られていました。一方で、同じカテーテル治療といっても下肢動脈に対する血管内カテーテル治療施行患者における高出血リスク基準該当割合やその臨床的意義について調べた研究はこれまでほとんどありませんでした。
 
今回、橋本先生、沼澤先生らの研究グループは当院で下肢動脈に対する初回の血管内カテーテル治療を施行した277症例のデータを解析し、従来の心臓カテーテル治療施行患者をはるかに上回る約70%の症例が上記の高出血リスク基準に該当するハイリスク症例であったこと、また高出血リスク基準に該当する症例は術後1年の死亡率、出血性合併症発生率、下肢切断率などが高い傾向にあったことをつきとめました。さらに多変量解析においても高出血リスク患者は術後1年以内の予後不良を示す独立した因子となることがわかりました。
 
このような研究結果を参考に各症例についてリスクの層別化を行い、アセスメントに基づいた適切な治療方針を選択することで、下肢動脈血管内カテーテル治療に伴う合併症発生率の軽減につながることが期待されます。
 
この論文は2021年3月2日に英文誌であるHeart and Vessels誌に掲載されました。
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