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沼澤洋平先生の臨床研究論文が海外の英文雑誌Catheterization and Cardiovascular Interventionsに掲載されました。
2019-08-05
議 論

An overview of percutaneous coronary intervention in dialysis patients: Insights from a Japanese nationwide registry.

著 者

Numasawa Y, Inohara T, Ishii H, Yamaji K, Hirano K, Kohsaka S, Sawano M, Kuno T, Kodaira M, Uemura S, Kadota K, Amano T, Nakamura M; J-PCI Registry Investigators.

発表
Catheter Cardiovasc Interv. 2019 Jul 1;94(1):E1-E8. doi: 10.1002/ccd.27986.
 
筆頭著者の沼澤先生らは日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリー(J-PCI registry)のデータを用いた臨床研究に応募し、透析患者に対するPCI後の治療成績に関する臨床研究論文を発表しました。
 
現在の日本は世界的にみても超高齢化社会に突入し、それと同時に糖尿病および糖尿病性腎症の患者さんが増加し続けています。それに伴い、腎不全により人工透析を施行している患者さんの数も増加し、透析症例に対して心臓カテーテル治療を行う機会も増えてきています。一方で人工透析施行患者に対するPCI後の治療成績に関するデータは、症例数が限られていることや人工透析症例がいわゆる大規模臨床試験から除外されるケースが多いことなどの理由でこれまでまとまったデータは限られたものしか存在しておりませんでした。
 
今回著者らは2014年から2016年までに日本で施行された約60万件に及ぶ心臓カテーテル治療データを解析し、その中で人工透析施行患者に対するPCI後の治療成績を明らかにしました。その結果、まず日本の現状として透析症例に対して3年間で4万件以上(全体の約6.6%)の心臓カテーテル治療が施行されていることが判明しました。また透析症例は非透析症例と比較して院内死亡や出血性合併症などの発生率が1.5〜2倍程度有意に高くなることが多変量解析によって明らかとなりました。透析症例に限定して解析を行うと、年齢、女性、心不全徴候および既往、心原性ショックなどがPCI後の院内死亡と強く関連していることがわかりました。
 
今後透析症例に心臓カテーテル治療を行う機会がますます増えてくるものと思われますが、このような大規模データベースからの研究データを参考にリスクの層別化を行うことで、PCIに伴う合併症発生率の軽減につながることが期待されます。
 
この論文は2019年7月1日に海外の英文誌であるCatheterization and Cardiovascular Intervention誌に掲載されました。
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