本文へ移動

臨床研究論文英文誌掲載


心臓血管病センター 橋本涼太先生、沼澤洋平先生らの下肢動脈血管内カテーテル治療施行患者における高出血リスク患者の割合と術後1年の臨床転帰についての研究論文が英文雑誌Heart and Vesselsに掲載されました

論題
著者
Hashimoto RNumasawa Y, Yokokura S, Daigo K, Sakata S, Imaeda S, Hitomi Y, Sato K, Taruoka A, Haginiwa S, Kojima H, Tanaka M, Kuno T, Kodaira M.
発表
Heart Vessels. 2021 Mar 2. doi: 10.1007/s00380-021-01813-2. Online ahead of print.
今回筆頭著者の橋本先生、責任著者の沼澤先生らは下肢動脈血管内カテーテル治療施行患者における高出血リスク基準(High Bleeding Risk Criteria)該当割合と術後1年の臨床転帰について調査を行い、その結果を臨床研究論文として発表しました。

これまでの先行研究から日本の心臓カテーテル治療施行患者においてはおよそ40-50%程度の症例が高齢、貧血、腎機能障害をはじめとした高出血リスク基準に該当し、治療後の合併症発生率も高いことが知られていました。一方で、同じカテーテル治療といっても下肢動脈に対する血管内カテーテル治療施行患者における高出血リスク基準該当割合やその臨床的意義について調べた研究はこれまでほとんどありませんでした。

今回、橋本先生、沼澤先生らの研究グループは当院で下肢動脈に対する初回の血管内カテーテル治療を施行した277症例のデータを解析し、従来の心臓カテーテル治療施行患者をはるかに上回る約70%の症例が上記の高出血リスク基準に該当するハイリスク症例であったこと、また高出血リスク基準に該当する症例は術後1年の死亡率、出血性合併症発生率、下肢切断率などが高い傾向にあったことをつきとめました。さらに多変量解析においても高出血リスク患者は術後1年以内の予後不良を示す独立した因子となることがわかりました。

このような研究結果を参考に各症例についてリスクの層別化を行い、アセスメントに基づいた適切な治療方針を選択することで、下肢動脈血管内カテーテル治療に伴う合併症発生率の軽減につながることが期待されます。

この論文は202132日に英文誌であるHeart and Vessels誌に掲載されました。



心臓血管病センター 沼澤洋平先生の心臓カテーテル治療施行患者におけるヘモグロビン/クレアチニン比と院内予後の関連についての臨床研究論文が海外の英文雑誌Jornal of Clinical Medicineに掲載されました

論題
著者
Numasawa Y, Inohara T, Ishii H, Yamaji K, Kohsaka S, Sawano M, Kodaira M, Uemura S, Kadota K, Amano T, Nakamura M, Ikari Y.
発表
J Clin Med. 2020 Nov 10;9(11):E3612. doi: 10.3390/jcm9113612.
筆頭著者の沼澤先生らは日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリー(J-PCI registry)のデータを用いた臨床研究に応募し、PCI施行患者におけるヘモグロビン/クレアチニン比と院内予後の関連についての臨床研究論文を発表しました。

これまでの先行研究からPCI前のヘモグロビン低値(≒貧血)やクレアチニン高値(≒腎機能障害)が術後治療成績の悪化に強く影響することが知られていましたが、これらの因子の複合的な影響について調べた研究はほとんどありませんでした。

今回、沼澤先生らの研究グループは2017年に日本で施行された約16万件に及ぶ心臓カテーテル治療データを解析し、個々の症例における術前の血液中のヘモグロビン値とクレアチニン値の比(Hgb/Cr ratio)によって周術期リスクを層別化できるかどうかについて調べました。その結果、Hgb/Cr ratioが低い症例ほど、死亡や出血を含む周術期合併症リスクが高く、特にHgb/Cr ratio10を下回る症例においてその傾向が顕著であったことがわかりました。

本研究の結果から、先行研究からわかっていたような重度の貧血や重度の腎機能障害を有する症例のみならず、軽度の貧血と軽度の腎機能障害を合併した症例においても心臓カテーテル治療における周術期合併症リスクがかなり高まることが示されました。このような大規模データベースからの研究結果を参考にリスクの層別化を行うことで、心臓カテーテル治療に伴う合併症発生率の軽減につながることが期待されます。

この論文は20201110日に海外の英文誌であるJournal of Clinical Medicine誌に掲載されました。


心臓血管病センター 沼澤洋平先生の急性心筋梗塞に対する抗血栓両方についての英文総説論文が海外の英文雑誌Jornal of Clinical Medicineに掲載されました

論題
著者
Numasawa Y, Sawano M, Fukuoka R, Ejiri K, Kuno T, Shoji S, Kohsaka S.
発表
J Clin Med. 2020 Jun 23;9(6):E1963. doi: 10.3390/jcm9061963.
今回、筆頭著者の沼澤先生らは急性心筋梗塞を発症した症例に対する適切な抗血栓療法(薬剤の種類や容量などの違い)について、主に日本人を含む東アジア人において欧米人とは異なる特徴があることを数多くの先行研究からデータをまとめ、総説論文として発表しました。

一般的に循環器内科の領域には急性心筋梗塞をはじめとした虚血性心疾患、心房細動などの不整脈、肺塞栓症や深部静脈血栓症など、いわゆる血液をサラサラにする薬剤(抗血栓薬)を用いて治療を行う疾患が多く含まれます。これらの抗血栓薬を内服する症例は血栓が形成されにくくなる、あるいは血管がつまりにくくなるなどのメリットがある一方で、出血しやすくなるというデメリットが常につきまとうというジレンマがあります。

我々日本人を含む東アジア人はこれらの抗血栓薬を継続的に内服した際に欧米人よりも出血性合併症が起こってしまう可能性が高いことが従来から報告されていました。その一方で薬剤に関する大規模臨床試験は欧米諸国を中心に行われることが多く、日本のガイドラインを作成する際にもこういった欧米の臨床研究データを参考にすることが多いのが実情です。例えば急性心筋梗塞の治療に使用する薬剤については、一部は欧米諸国で用いられている容量よりも少ない量を日本で使用しているものもあれば、欧米と同じ量を使用しているものもあります。

今回沼澤先生らの研究グループは特に東アジアの国々で施行された大規模臨床試験の結果を欧米の研究データと比較し、急性心筋梗塞患者の東アジア特有の患者背景(高齢者が多く、欧米人と比較して体型が小さく、出血リスクが高い)をまとめるとともに日本における適切な薬剤の選択についての考察を総説論文として執筆しました。同じ疾患に対する治療であっても、欧米諸国と東アジア諸国における様々な違いを明らかにし、個々の症例に応じて適切な薬剤の種類と容量を選択することは、急性心筋梗塞患者に対する治療結果を改善させることにつながるものと期待されます。(なおこの論文の原稿の一部は、以前足利赤十字病院循環器内科に在籍していた工野俊樹先生が執筆してくださいました。)

この論文は2020年6月23日に海外の英文誌であるJournal of Clinical Medicine誌に掲載されました。



心臓血管病センター 沼澤洋平先生の臨床研究論文が海外の英文雑誌Catheterization and Cardiovascular Interventionsに掲載されました

論題
著者
Numasawa Y, Inohara T, Ishii H, Yamaji K, Hirano K, Kohsaka S, Sawano M, Kuno T, Kodaira M, Uemura S, Kadota K, Amano T, Nakamura M; J-PCI Registry Investigators.
発表
Catheter Cardiovasc Interv. 2019 Jul 1;94(1):E1-E8. doi: 10.1002/ccd.27986.
筆頭著者の沼澤先生らは日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリー(J-PCI registry)のデータを用いた臨床研究に応募し、透析患者に対するPCI後の治療成績に関する臨床研究論文を発表しました。

現在の日本は世界的にみても超高齢化社会に突入し、それと同時に糖尿病および糖尿病性腎症の患者さんが増加し続けています。それに伴い、腎不全により人工透析を施行している患者さんの数も増加し、透析症例に対して心臓カテーテル治療を行う機会も増えてきています。一方で人工透析施行患者に対するPCI後の治療成績に関するデータは、症例数が限られていることや人工透析症例がいわゆる大規模臨床試験から除外されるケースが多いことなどの理由でこれまでまとまったデータは限られたものしか存在しておりませんでした。

今回著者らは2014年から2016年までに日本で施行された約60万件に及ぶ心臓カテーテル治療データを解析し、その中で人工透析施行患者に対するPCI後の治療成績を明らかにしました。その結果、まず日本の現状として透析症例に対して3年間で4万件以上(全体の約6.6%)の心臓カテーテル治療が施行されていることが判明しました。また透析症例は非透析症例と比較して院内死亡や出血性合併症などの発生率が1.5〜2倍程度有意に高くなることが多変量解析によって明らかとなりました。透析症例に限定して解析を行うと、年齢、女性、心不全徴候および既往、心原性ショックなどがPCI後の院内死亡と強く関連していることがわかりました。

今後透析症例に心臓カテーテル治療を行う機会がますます増えてくるものと思われますが、このような大規模データベースからの研究データを参考にリスクの層別化を行うことで、PCIに伴う合併症発生率の軽減につながることが期待されます。

この論文は2019年7月1日に海外の英文誌であるCatheterization and Cardiovascular Intervention誌に掲載されました。

心臓血管病センター 沼澤洋平先生の臨床研究論文が海外の英文雑誌Journal of the American Heart Associationに掲載されました

論題
著者
Numasawa Y, Inohara T, Ishii H, Yamaji K, Kohsaka S, Sawano M, Kodaira M, Uemura S, Kadota K, Amano T, Nakamura M; JPCI Registry Investigators.
発表
J Am Heart Assoc. 2019 Mar 5;8(5):e011183. doi: 10.1161/JAHA.118.011017.
筆頭著者の沼澤先生らは日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリー(J-PCI registry)のデータを用いた臨床研究に応募し、高齢者(特に90歳以上の超高齢者)に対するPCI後の治療成績に関する臨床研究論文を発表しました。

現在の日本は世界的にみても超高齢化社会に突入しています。人口の高齢化に伴って心臓病を有する高齢者に対して心臓カテーテル治療を行う機会も増えてきています。一方で高齢者(特に90歳以上の超高齢者)に対するPCI後の治療成績に関するデータはこれまでほとんど明らかになっていませんでした。

今回著者らは2014年から2016までに日本で施行された約60万件に及ぶ心臓カテーテル治療データを解析し、超高齢者に対するPCI後の治療成績を明らかにしました。その結果、3年間で90歳以上の超高齢者に対し約1万件程度の心臓カテーテル治療が日本国内で施行されていることが判明しました。また、患者の年齢が上昇するに従って、院内死亡や出血性合併症などの発生率が有意に高くなることが多変量解析(Forest plot, Cubic spline model)によって具体的な数値とともに明らかとなりました。

今後ますます高齢の患者さんに手術を行う機会が増えてくるものと思われますが、このような大規模データベースからの研究データは、日々の実臨床のみならず今後の医療政策を考える上でも参考になるものと考えられます。

この論文は2019年2月22日に海外の英文誌であるJournal of the American Heart Associationに掲載されました。

心臓血管病センター 沼澤洋平先生の臨床研究論文が海外の英文雑誌American journal of Cardiologyに掲載されました

論題
著者
Numasawa Y, Ueda I, Sawano M, Kuno T, Kodaira M, Noma S, Suzuki M, Miyata H, Fukuda K, Kohsaka S.
発表
Am J Cardiol. 2018 Mar 15;121(6):695-702.
 筆頭著者の沼澤先生らは慶應関連病院循環器病研究会(KiCS)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリーのデータを解析し、治療前のヘモグロビン値と治療後の合併症との関連についての研究を行いました。
 
 世界保健機関(World Health Organization: WHO)の定義によると、血中ヘモグロビン値が男性では13.0g/dL未満、女性では12.0g/dL未満であると「貧血」と診断されます。驚くことに日本で2008年から2016年に心臓カテーテル治療を受けた13,010人のうち、男性の31.4%、女性の45.6%が手術前に「貧血」と診断されるヘモグロビン値を有していたことが判明いたしました。
 さらに治療前のヘモグロビン値が低い症例ほど治療後の合併症発生率、院内死亡率、出血率が統計学的に有意に高いことが判明いたしました。男性、女性、急性冠症候群患者、安定冠動脈疾患患者といった各患者群にわけて同様の統計解析を行いましたが、やはりこれらのどの患者群においても同様の傾向が見られることが確認されました。
 この研究結果から、心臓カテーテル治療を受ける際には治療前のヘモグロビン値に応じて治療後のリスクの層別化を行う必要があります。
 
この論文は海外の英文誌であるAmerican Journal of Cardiologyの2018年3月15日号に掲載されました。 

循環器内科 沼澤洋平先生の臨床研究論文が
英文誌 Journal of Cardiologyに掲載されました

論題
著者
Numasawa Y, Sawano M, Miyata H, Ueda I, Noma S, Suzuki M, Kuno T, Kodaira M, Maekawa Y, Fukuda K, Kohsaka S.
発表
Am J Cardiol. 2017 Apr 15;119(8):1173-1178.
筆頭著者の沼澤先生らは慶應関連病院循環器病研究会(KICS)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリーのデータを解析し、急性冠症候群に伴う心肺停止蘇生後の症例に対する経皮的冠動脈形成術の治療成績について調査を行いました。
 
日本はST上昇型急性心筋梗塞をはじめとした急性冠症候群に対するPCI治療を施行可能な病院が多く、心筋梗塞は助かって当たり前の時代になってきました。しかし、この論文で取り上げられている「手術前に一度でも心肺停止状態に陥った症例(N=264)」については緊急手術を行っても死亡率が極めて高い(28%)という事実はあまり知られておりません。
 
さらにこの患者群における院内死亡の予測因子を多変量解析で割り出したところ、高齢者(年齢)(オッズ比:1.04、95%信頼区間:1.02-1.07, p=0.002)と心原性ショック(オッズ比:5.54、95%信頼区間:2.19-17.13, p<0.001)、及び肥満(BMI)(オッズ比:1.18、95%信頼区間:1.09-1.30, p<0.001)が独立した危険因子であることが判明しました。中でも心原性ショックを呈した75歳以上の高齢者の死亡リスクは、心原性ショックのない非高齢者の33.8倍に登ることが報告されました。
 
救命のために緊急手術を行うことに議論の余地はありませんが、手術を施行した場合にどの程度の救命率が望めるかを事前に把握することは医療従事者にとっても患者さんのご家族にとっても極めて重要であると考えられます。
 
 
この論文は2017年4月15日に海外のJournalであるAmerican Journal of Cardiologyに掲載されました。

循環器内科 沼澤洋平先生の臨床研究論文が
英文誌 Journal of Cardiologyに掲載されました

論題
著者
Numasawa Y, Inohara T, Ishii H, Kuno T, Kodaira M, Kohsaka S, Fujii K, Uemura S, Amano T, Kadota K, Nakamura M.
発表
Am J Cardiol. 2016 Dec 18. pii: S0002-9149(16)31934-8. doi: 10.1016/j.amjcard.2016.11.034. [Epub ahead of print]
 筆頭著者の沼澤先生は日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリー(J-PCI registry)のデータを用いた臨床研究に応募し、非ST上昇型急性冠症候群において女性が男性に比べて冠動脈形成術後の合併症発生率が1.2〜2倍程度高いことを報告した。
 
 PCI治療を受ける患者は男性の方が圧倒的に多いにもかかわらず、PCI後の合併症発生率は男性より女性に有意に多いことは海外のデータでも指摘されていた。今回著者らは解析対象を過去に研究報告が非常に少ない「非ST上昇型急性冠症候群」の症例に絞り、約4万3千例の日本の心臓カテーテル治療データを用い、さらに踏み込んだ多変量統計解析を行って女性の合併症に関するオッズ比を算出した。
 
このような大規模データから男女別のリスクの違いを明らかにすることで、今後心臓カテーテル治療における合併症発生率の低減につながることが期待される。
 
この論文は2016年12月18日に海外のJournalであるAmerican Journal of Cardiologyに掲載された。

沼澤洋平先生の臨床研究論文が海外の英文雑誌 PLOS ONEに掲載されました

論題
Impact of Body Mass Index on In-Hospital Complications in Patients Undergoing Percutaneous Coronary Intervention in a Japanese Real-World Multicenter Registry.
著者
Numasawa Y, Kohsaka S, Miyata H, Kawamura A, Noma S, Suzuki M, Nakagawa S, Momiyama Y, Naito K, Fukuda K.
発表
PLoS One. 2015 Apr 14;10(4):e0124399. doi: 10.1371/journal.pone.0124399. eCollection 2015.
 筆頭著者の沼澤先生らは慶應関連病院循環器病研究会(KICS)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリーのデータを解析し、肥満傾向にある人(BMI; body mass indexが高い人)よりもやせ傾向にある人(BMIが低い人)の方が、PCI術後合併症のリスクが高いことを報告しました。
 
 一般的には肥満傾向にある人(BMIが高い人)ほど、心臓血管系の疾患に罹患しやすいと考えられている。しかし冠動脈疾患に罹患した患者に対して心臓カテーテル治療を行う場合には、やせ傾向にある人(BMIが低い人)の方が合併症発生率が高いことが判明した。この一見矛盾したように考えられる現象は「Obesity paradox」と呼ばれています。
 
 今回沼澤先生らは、日本における約10000人の心臓カテーテル治療レジストリーデータを解析することで、日本人のBMIの分布が欧米人と比較して圧倒的に低い事、また海外のデータではやせている人と極端に肥満傾向が強い人の両方に合併症発生率のピークがあるのに対し、日本では極端に肥満傾向が強い人が少ないため、やせている患者群の合併症発生率が著名に高値であるという日本特有の「Obesity paradox」が存在することを報告しました。
 
 また各リスク因子を統計学的に補正した後でもBMIが低い人は全体の合併症、および出血性合併症において、独立した危険因子となることを多変量解析にて報告しました。

工野俊樹先生の臨床研究論文が海外の英文雑誌
American Journal of Cardiologyに掲載されました

論題
Location of the Culprit Coronary Lesion and Its Association With Delay in Door-to-Balloon Time (from a Multicenter Registry of Primary Percutaneous Coronary Intervention).
著者
Kuno T, Kohsaka S, Numasawa Y, Ueda I, Suzuki M, Nakamura I, Negishi K, Ishikawa S, Maekawa Y, Kawamura A, Miyata H, Fukuda K.
発表
Am J Cardiol. 2015 Mar 1;115(5):581-6. doi: 10.1016/j.amjcard.2014.12.004. Epub 2014 Dec 18.
 筆頭著者の工野先生らは慶應関連病院循環器病研究会(KICS)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリーのデータを解析し、急性心筋梗塞患者の緊急PCIにおいて、病着から冠動脈再灌流までの時間が90分超である確率が、左回旋枝動脈が責任病変であると他の責任病変 (右冠動脈もしくは左前下行枝動脈)よりも1.5倍程度高いことを報告しました。
 
 著者らは約1700例の急性心筋梗塞患者のデータを用いて、多変量統計解析を行い、オッズ比を算出しました。この原因として、左回旋枝動脈が心臓の背中側にあるため、心電図変化が生じにくいために診断が遅れる可能性が考えられました。
 
 AHA(米国心臓病学会)の診療ガイドラインは急性心筋梗塞患者の緊急PCIにおいて、来病着から冠動脈再灌流までの時間が90分以内であることを推奨しており、当院でも急性心筋梗塞患者での治療の遅れを最小限にする努力をしている。90分以上では冠動脈閉塞時間が長いため、心筋保護に繋がらない可能性があることが報告されている。今回のデータでも90分を超える患者の死亡率は90分以内の患者に比べて有意に高い事が報告されました。
 
 この臨床研究論文は2015年3月に海外の英文雑誌American Journal of Cardiologyに掲載されました。

沼澤洋平先生の臨床研究論文が海外の英文雑誌 PLOS ONEに掲載されました

論題
Gender Differences in In-Hospital Clinical Outcomes after Percutaneous Coronary Interventions: An Insight from a Japanese Multicenter Registry
著者
Yohei Numasawa, Shun Kohsaka, Hiroaki Miyata, Shigetaka Noma,
 Masahiro Suzuki, Shiro Ishikawa, Iwao Nakamura, Yutaro Nishi, Takahiro Ohki, Koji Negishi, Toshiyuki Takahashi, Keiichi Fukuda
発表
PLoS ONE 10(1): e0116496. doi:10.1371/journal.pone.0116496
 筆頭著者の沼澤先生らは慶應関連病院循環器病研究会(KICS)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリーのデータを解析し、女性が男性に比べて冠動脈形成術後の合併症発生率が1.5〜2倍程度高いことを報告しました。
 
 PCI治療を受ける患者は男性の方が圧倒的に多いにもかかわらず、PCI後の合併症発生率は男性より女性に有意に多いことは海外のデータでも指摘されていました。今回著者らは約1万例の日本の心臓カテーテル治療データを用い、さらに踏み込んだ多変量統計解析を行い、患者群を年齢で層別化し、各年齢層における女性の合併症に関するオッズ比を算出しました。
 
 その結果、日本では若年でPCI治療を受ける女性は海外と比較して非常に少なく、また各リスク因子を統計学的に補正した後でも中年(55歳以上)および高齢の女性はいずれも男性と比して1.5〜2倍程度の合併症リスクを伴うことが報告されました。
 
この論文は2015年1月30日に海外のopen access journalであるPLOS ONEに掲載されました。
TOPへ戻る