臨床研究論文英文誌掲載
心臓血管病センター 沼澤洋平先生の臨床研究論文が海外の英文雑誌American journal of Cardiologyに掲載されました
論題
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著者
| Numasawa Y, Ueda I, Sawano M, Kuno T, Kodaira M, Noma S, Suzuki M, Miyata H, Fukuda K, Kohsaka S.
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発表
| Am J Cardiol. 2018 Mar 15;121(6):695-702.
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筆頭著者の沼澤先生らは慶應関連病院循環器病研究会(KiCS)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリーのデータを解析し、治療前のヘモグロビン値と治療後の合併症との関連についての研究を行いました。
世界保健機関(World Health Organization: WHO)の定義によると、血中ヘモグロビン値が男性では13.0g/dL未満、女性では12.0g/dL未満であると「貧血」と診断されます。驚くことに日本で2008年から2016年に心臓カテーテル治療を受けた13,010人のうち、男性の31.4%、女性の45.6%が手術前に「貧血」と診断されるヘモグロビン値を有していたことが判明いたしました。
さらに治療前のヘモグロビン値が低い症例ほど治療後の合併症発生率、院内死亡率、出血率が統計学的に有意に高いことが判明いたしました。男性、女性、急性冠症候群患者、安定冠動脈疾患患者といった各患者群にわけて同様の統計解析を行いましたが、やはりこれらのどの患者群においても同様の傾向が見られることが確認されました。
この研究結果から、心臓カテーテル治療を受ける際には治療前のヘモグロビン値に応じて治療後のリスクの層別化を行う必要があります。
さらに治療前のヘモグロビン値が低い症例ほど治療後の合併症発生率、院内死亡率、出血率が統計学的に有意に高いことが判明いたしました。男性、女性、急性冠症候群患者、安定冠動脈疾患患者といった各患者群にわけて同様の統計解析を行いましたが、やはりこれらのどの患者群においても同様の傾向が見られることが確認されました。
この研究結果から、心臓カテーテル治療を受ける際には治療前のヘモグロビン値に応じて治療後のリスクの層別化を行う必要があります。
この論文は海外の英文誌であるAmerican Journal of Cardiologyの2018年3月15日号に掲載されました。
循環器内科 沼澤洋平先生の臨床研究論文が
英文誌 Journal of Cardiologyに掲載されました
英文誌 Journal of Cardiologyに掲載されました
論題
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著者
| Numasawa Y, Sawano M, Miyata H, Ueda I, Noma S, Suzuki M, Kuno T, Kodaira M, Maekawa Y, Fukuda K, Kohsaka S.
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発表
| Am J Cardiol. 2017 Apr 15;119(8):1173-1178.
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筆頭著者の沼澤先生らは慶應関連病院循環器病研究会(KICS)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリーのデータを解析し、急性冠症候群に伴う心肺停止蘇生後の症例に対する経皮的冠動脈形成術の治療成績について調査を行いました。
日本はST上昇型急性心筋梗塞をはじめとした急性冠症候群に対するPCI治療を施行可能な病院が多く、心筋梗塞は助かって当たり前の時代になってきました。しかし、この論文で取り上げられている「手術前に一度でも心肺停止状態に陥った症例(N=264)」については緊急手術を行っても死亡率が極めて高い(28%)という事実はあまり知られておりません。
さらにこの患者群における院内死亡の予測因子を多変量解析で割り出したところ、高齢者(年齢)(オッズ比:1.04、95%信頼区間:1.02-1.07, p=0.002)と心原性ショック(オッズ比:5.54、95%信頼区間:2.19-17.13, p<0.001)、及び肥満(BMI)(オッズ比:1.18、95%信頼区間:1.09-1.30, p<0.001)が独立した危険因子であることが判明しました。中でも心原性ショックを呈した75歳以上の高齢者の死亡リスクは、心原性ショックのない非高齢者の33.8倍に登ることが報告されました。
救命のために緊急手術を行うことに議論の余地はありませんが、手術を施行した場合にどの程度の救命率が望めるかを事前に把握することは医療従事者にとっても患者さんのご家族にとっても極めて重要であると考えられます。
この論文は2017年4月15日に海外のJournalであるAmerican Journal of Cardiologyに掲載されました。
循環器内科 沼澤洋平先生の臨床研究論文が
英文誌 Journal of Cardiologyに掲載されました
英文誌 Journal of Cardiologyに掲載されました
論題
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著者
| Numasawa Y, Inohara T, Ishii H, Kuno T, Kodaira M, Kohsaka S, Fujii K, Uemura S, Amano T, Kadota K, Nakamura M.
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発表
| Am J Cardiol. 2016 Dec 18. pii: S0002-9149(16)31934-8. doi: 10.1016/j.amjcard.2016.11.034. [Epub ahead of print]
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筆頭著者の沼澤先生は日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリー(J-PCI registry)のデータを用いた臨床研究に応募し、非ST上昇型急性冠症候群において女性が男性に比べて冠動脈形成術後の合併症発生率が1.2〜2倍程度高いことを報告した。
PCI治療を受ける患者は男性の方が圧倒的に多いにもかかわらず、PCI後の合併症発生率は男性より女性に有意に多いことは海外のデータでも指摘されていた。今回著者らは解析対象を過去に研究報告が非常に少ない「非ST上昇型急性冠症候群」の症例に絞り、約4万3千例の日本の心臓カテーテル治療データを用い、さらに踏み込んだ多変量統計解析を行って女性の合併症に関するオッズ比を算出した。
このような大規模データから男女別のリスクの違いを明らかにすることで、今後心臓カテーテル治療における合併症発生率の低減につながることが期待される。
この論文は2016年12月18日に海外のJournalであるAmerican Journal of Cardiologyに掲載された。
沼澤洋平先生の臨床研究論文が海外の英文雑誌 PLOS ONEに掲載されました
論題
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著者
| Numasawa Y, Kohsaka S, Miyata H, Kawamura A, Noma S, Suzuki M, Nakagawa S, Momiyama Y, Naito K, Fukuda K.
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発表
| PLoS One. 2015 Apr 14;10(4):e0124399. doi: 10.1371/journal.pone.0124399. eCollection 2015.
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筆頭著者の沼澤先生らは慶應関連病院循環器病研究会(KICS)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリーのデータを解析し、肥満傾向にある人(BMI; body mass indexが高い人)よりもやせ傾向にある人(BMIが低い人)の方が、PCI術後合併症のリスクが高いことを報告しました。
一般的には肥満傾向にある人(BMIが高い人)ほど、心臓血管系の疾患に罹患しやすいと考えられている。しかし冠動脈疾患に罹患した患者に対して心臓カテーテル治療を行う場合には、やせ傾向にある人(BMIが低い人)の方が合併症発生率が高いことが判明した。この一見矛盾したように考えられる現象は「Obesity paradox」と呼ばれています。
今回沼澤先生らは、日本における約10000人の心臓カテーテル治療レジストリーデータを解析することで、日本人のBMIの分布が欧米人と比較して圧倒的に低い事、また海外のデータではやせている人と極端に肥満傾向が強い人の両方に合併症発生率のピークがあるのに対し、日本では極端に肥満傾向が強い人が少ないため、やせている患者群の合併症発生率が著名に高値であるという日本特有の「Obesity paradox」が存在することを報告しました。
また各リスク因子を統計学的に補正した後でもBMIが低い人は全体の合併症、および出血性合併症において、独立した危険因子となることを多変量解析にて報告しました。
工野俊樹先生の臨床研究論文が海外の英文雑誌
American Journal of Cardiologyに掲載されました
論題
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著者
| Kuno T, Kohsaka S, Numasawa Y, Ueda I, Suzuki M, Nakamura I, Negishi K, Ishikawa S, Maekawa Y, Kawamura A, Miyata H, Fukuda K.
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発表
| Am J Cardiol. 2015 Mar 1;115(5):581-6. doi: 10.1016/j.amjcard.2014.12.004. Epub 2014 Dec 18.
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筆頭著者の工野先生らは慶應関連病院循環器病研究会(KICS)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリーのデータを解析し、急性心筋梗塞患者の緊急PCIにおいて、病着から冠動脈再灌流までの時間が90分超である確率が、左回旋枝動脈が責任病変であると他の責任病変 (右冠動脈もしくは左前下行枝動脈)よりも1.5倍程度高いことを報告しました。
著者らは約1700例の急性心筋梗塞患者のデータを用いて、多変量統計解析を行い、オッズ比を算出しました。この原因として、左回旋枝動脈が心臓の背中側にあるため、心電図変化が生じにくいために診断が遅れる可能性が考えられました。
AHA(米国心臓病学会)の診療ガイドラインは急性心筋梗塞患者の緊急PCIにおいて、来病着から冠動脈再灌流までの時間が90分以内であることを推奨しており、当院でも急性心筋梗塞患者での治療の遅れを最小限にする努力をしている。90分以上では冠動脈閉塞時間が長いため、心筋保護に繋がらない可能性があることが報告されている。今回のデータでも90分を超える患者の死亡率は90分以内の患者に比べて有意に高い事が報告されました。
この臨床研究論文は2015年3月に海外の英文雑誌American Journal of Cardiologyに掲載されました。
沼澤洋平先生の臨床研究論文が海外の英文雑誌 PLOS ONEに掲載されました
論題
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著者
| Yohei Numasawa, Shun Kohsaka, Hiroaki Miyata, Shigetaka Noma,
Masahiro Suzuki, Shiro Ishikawa, Iwao Nakamura, Yutaro Nishi, Takahiro Ohki, Koji Negishi, Toshiyuki Takahashi, Keiichi Fukuda
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発表
| PLoS ONE 10(1): e0116496. doi:10.1371/journal.pone.0116496
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筆頭著者の沼澤先生らは慶應関連病院循環器病研究会(KICS)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリーのデータを解析し、女性が男性に比べて冠動脈形成術後の合併症発生率が1.5〜2倍程度高いことを報告しました。
PCI治療を受ける患者は男性の方が圧倒的に多いにもかかわらず、PCI後の合併症発生率は男性より女性に有意に多いことは海外のデータでも指摘されていました。今回著者らは約1万例の日本の心臓カテーテル治療データを用い、さらに踏み込んだ多変量統計解析を行い、患者群を年齢で層別化し、各年齢層における女性の合併症に関するオッズ比を算出しました。
その結果、日本では若年でPCI治療を受ける女性は海外と比較して非常に少なく、また各リスク因子を統計学的に補正した後でも中年(55歳以上)および高齢の女性はいずれも男性と比して1.5〜2倍程度の合併症リスクを伴うことが報告されました。
この論文は2015年1月30日に海外のopen access journalであるPLOS ONEに掲載されました。