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沼澤洋平先生の臨床研究論文が海外の英文雑誌Journal of Clinical Medicineに掲載されました
2020-11-24
議 論

Association of the Hemoglobin to Serum Creatinine Ratio with In-Hospital Adverse Outcomes after Percutaneous Coronary Intervention among Non-Dialysis Patients: Insights from a Japanese Nationwide Registry (J-PCI Registry)

著 者

Numasawa Y, Inohara T, Ishii H, Yamaji K, Kohsaka S, Sawano M, Kodaira M, Uemura S, Kadota K, Amano T, Nakamura M, Ikari Y.

発表
J Clin Med. 2020 Nov 10;9(11):E3612. doi: 10.3390/jcm9113612.
 
筆頭著者の沼澤先生らは日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)が運営する多施設心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)レジストリー(J-PCI registry)のデータを用いた臨床研究に応募し、PCI施行患者におけるヘモグロビン/クレアチニン比と院内予後の関連についての臨床研究論文を発表しました。
 
これまでの先行研究からPCI前のヘモグロビン低値(≒貧血)やクレアチニン高値(≒腎機能障害)が術後治療成績の悪化に強く影響することが知られていましたが、これらの因子の複合的な影響について調べた研究はほとんどありませんでした。
 
今回、沼澤先生らの研究グループは2017年に日本で施行された約16万件に及ぶ心臓カテーテル治療データを解析し、個々の症例における術前の血液中のヘモグロビン値とクレアチニン値の比(Hgb/Cr ratio)によって周術期リスクを層別化できるかどうかについて調べました。その結果、Hgb/Cr ratioが低い症例ほど、死亡や出血を含む周術期合併症リスクが高く、特にHgb/Cr ratioが10を下回る症例においてその傾向が顕著であったことがわかりました。
 
本研究の結果から、先行研究からわかっていたような重度の貧血や重度の腎機能障害を有する症例のみならず、軽度の貧血と軽度の腎機能障害を合併した症例においても心臓カテーテル治療における周術期合併症リスクがかなり高まることが示されました。このような大規模データベースからの研究結果を参考にリスクの層別化を行うことで、心臓カテーテル治療に伴う合併症発生率の軽減につながることが期待されます。
 
この論文は2020年11月10日に海外の英文誌であるJournal of Clinical Medicine誌に掲載されました。
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